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2014(Wed)

「薔薇の名前 上・下」ウンベルト・エーコ著

読感/翻訳小説

「薔薇の名前 上」ウンベルト・エーコ著/

迷宮構造をもつ文書館を備えた、中世北イタリアの僧院で「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が。バスカヴィルのウィリアム修道士が事件の陰には一冊の書物の存在があることを探り出したが…。精緻な推理小説の中に碩学エーコがしかけた知のたくらみ。

↑本の内容紹介から。

「薔薇の名前 下」ウンベルト・エーコ著/

中世イタリアの修道院で起きた連続殺人事件。事件の秘密は知の宝庫ともいうべき迷宮の図書館にあるらしい。記号論学者エーコがその博学で肉づけした長編歴史ミステリ。全世界で異例の大ベストセラーとなった話題作。

↑本の内容紹介から。

かの名作と名高い、「薔薇の名前」読もう読もうと思いながら、なかなか手を付けられずに、長年積んでいたのですが。
歴史ミステリが読みたい!熱に浮かされて(本当は別の本が読みたかったのだけれど、買っておらず。)まずはこちらをということで。
修道僧アドソの手記を手に入れた人がイタリア語に翻訳したというかたちで、始まります。
そしてお話は十四世紀イタリアのある修道院に使命を抱えて立ち寄った修道士ウィリアムと弟子のアドソは僧院長から、転落死した僧の事件について調査を依頼され――。
冒頭、ウィリアム修道士がシャーロック・ホームズばりの名推理を披露するところで、登場人物に対する掴みはOK!といいますか。
そうして第一の事件を自殺と推理した直後に、第二の事件が。
次々と起こる事件はまるで黙示録の見立てのよう――と。
ミステリ的な縦糸に、宗教、中世の風俗、文化。薬草、毒草、写本に細密画に図書室に異端審問といったものが横糸となり壮大なお話に。
(ミステリとしてはそれほどビックリするような出来ではないのだけれど、博識によって紡がれる沢山の知識に読んでいるものは自分の立ち位置を見失うといいますか)
文脈を惑わされ、読み手は自分の位置を見失って混乱し難しく感じるのかな、と。大量の知識にクラクラするもそれが面白い!
宗教が題材なので、難しいかなと思っていたけれど、そんなことはなかったです。
修道女フィデルマシリーズで、同じキリスト教徒でも解釈によって宗派が違えば、意見も異なるというのがわかっていたので、宗教論争など、大変興味深く読めました。
キリストは清貧だったということで、教会が財産を持つことに対し反対する宗派。それもまた多数に別れれば、ときに暴走し異端となるなど。
舞台となる時代は中世ですが、書いている作家は現代の人なので、テーマ的にも現代に通じるものがあります。
現在の憲法解釈などの問題も、あまりにリアルタイムすぎて、ぞわっと。

~何故なら、唯一何者かによって法が制定されたりすれば、無知にせよ悪意にせよ、その唯一者によって悪を行使することが可能になってしまうであろうから。~(「薔薇の名前・下」P157より)

それと聖堂の天井画を何ページにも渡って緻密に描写したりとか。まるでその場にいるかのような、描写とか。
ウィリアムとアドソの師弟コンビも魅力的で読み応えバッチリでとっても面白かったです!

読後、「薔薇の名前」の映画版をDVDで試聴(二度目)
まあ、随分とコンパクトに……。異端審問官ギーとの対決などをメインに持ってきた感じになっていました。
小説の方が私は面白かったかな。
でも、迷宮というか、秘密の図書館(←この辺、小説とは違う)を見つけたウィリアム修道士役のショーン・コネリーの子供のようなはしゃぎっぷりが、可愛かった!(オイ)
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