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2014(Wed)

「沈黙を破る者」メヒティルト・ボルマン著

読感/翻訳小説

「沈黙を破る者」メヒティルト・ボルマン著/

大農場の陽気な赤毛の娘アルヴィーネ、その思慮深き兄ヤーコプ、がっしりした実業家タイプのヴィルヘルム、大きな水色の目をしたきまじめなハンナ、文学を愛するレオナルト、活動的で美しく聡明なテレーゼ…。1939年夏、共に過ごした幸福な時間は終わり、戦争が始まろうとしていた。不可解な殺人事件を追うひとりの巡査、50年の時をこえてよみがえる戦時下の出来事。ドイツ・ミステリ大賞第一位。気鋭の女性作家による静かな傑作。

↑本の内容紹介から。

1998年、ロベルトは亡くなった父の遺品の中に若い女性が写った古い写真を見つけます。
もしや昔の父の恋人なのでは?とそこに写った女性を捜そうとしたことから戦時の哀しい出来事を引きずり出して――というドイツミステリです。
ロベルトが写真の出所を辿っていく途中、女性ジャーナリストのリタと出会います。
失踪事件が絡んだこの人探しに、彼女はこれが記事として売れると直感し、父とは関係なさそうだと思ったところから調査を止めて欲しいというロベルトを無視して、独自に調査をすればある大物に突き当たった直後、何者かに殺されてしまいます。
これは過去の事件と関係があるのか?
お話はこれら1998年代パートと、1939年~1950年代の開戦から戦後数年の過去回想パートの二つから綴られます。
回想パートでは仲の良かった六人が、戦争が始まったことによって、恋情の行き違いから、嫉妬し引き裂かれと。
死が隣り合わせにある戦時下では、ちょっとた嫉妬も、人の命を喰らうという現実に息を呑まされます。
そうして語られた真実を前にすれば、ある人物のどこまでも自分本位な身勝手さが何とも言えない……。
「愛」を楯にすれば何をしても許される、なんてことはあるはずがないよね……!
ミステリとしては予測の範囲内に落ち着く、真相かも知れない。
けれど、じわじわと日常が。
大切な人々が、戦争によって奪われていくところに、平和の根底が揺らいでいる今、感じるものは多いかと。
戦時のこともあって、真相関連は重たいですけれど。
現代パートで事件を追うカール巡査の人柄が、良いです。猫との暮らしの一幕やら。
↓カール巡査のことを語る言葉。

~みんながいまの半分の速度で行動すれば、事件の発生数も半分になると言うのが彼の持論でね~(P44より)

沈黙を破る者沈黙を破る者
(2014/05/22)
メヒティルト ボルマン

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