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松原冬夜

Author:松原冬夜
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「堕ちたる者の書―パラディスの秘録」タニス・リー著

「堕ちたる者の書―パラディスの秘録」タニス・リー著/

ヨーロッパ、幻想の魔都パラディス。そこに織りなされる“三色”の物語たち。吸血鬼譚「紅に染められ」、サタニスムを描く「黄の殺意」、魔道士の遍歴を語る「青の帝国」。前作「幻獣の書」と対をなし、退廃的なエロティシズムと両性具有への憧憬を濃厚に漂わせる傑作中篇集。

↑本の内容紹介から。

「幻獣の書」に続く(とはいえ、多分「堕ちたる者の書」が原書では先。翻訳は「幻獣の書」が先に出ていますけど)、
ヨーロッパの架空都市パラ・ディスを舞台にした幻想怪奇作品集です。
「紅に染められ」「黄の殺意」「青の帝国」の中編三編収録。
「幻獣の書」の感想に書きましたように、パラ・ディスという都市を舞台に幻想的な物語を紡ぐ――という以外は、時代もバラバラなので、どの話から読んでも大丈夫。
(同じ都市、時代の前後で、通りの名前やある人物の名前が出てきたりしますが、お話が繋がるというよりは、背景的なものなので)
「紅に染められ」
詩人のアンドレは道すがら、通りかかった男にある指輪を託される。その持ち主は男爵夫人アントニーナではないかと、その持ち主に惹きあわされたアンドレは夫人に惹かれ、紆余曲折の末に結ばれたが直後、夫人が死に、彼の前にアントニーナそっくりの兄アントニーを名乗る青年が現われ、アンドレに決闘を申し込み――。
ネタバレ反転→相手によって性別が変わる、結ばれては死して殺され、蘇っては復讐を果たすという延々と繰り返される吸血鬼たちの愛憎劇
「黄の殺意」ジュアニーヌは義父に犯され、家を出る。都市へと向かい、唯一信頼していた弟のピエールに助けを求めますが、信じて貰えずに傷ついた彼女は尼僧院に身を寄せます。神を信じられない彼女は、男装し夜毎、極悪非道の行いを繰り返す。
しかし、病に倒れた後、尼になった彼女は疫病はびこる都市で救済を――。
「男」に裏切られたジュアニーヌにとって「男装」しているときは、「悪」。女のときは「善」だったのかな、と。堕天使ルシフェルがモチーフになっているところからも、聖と悪、二面性をテーマにしていたのかな
「青の帝国」
新聞に記事を書いている女性記者、ある日男に声を掛けられて。そうして巻き込まれたのは、古代魔術師の呪い――。
三編収録の中では「黄の殺意」がやはり印象的でした。
とはいえ、どの話もどこへ転がっていくのかわからない面白さがあって、どれも良かったです。
「幻獣の書」が中世(もしくは近世)から、古代であったのなら、「堕ちたる者の書」は中世から近代と。
時代が違ってくるので、このお話はこの時代がモデルかな?と歴史にあてはめて読むのもまた一興かと。

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