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2014(Mon)

「死せる者の書 パラディスの秘録」タニス・リー著

読感/翻訳小説

「死せる者の書 パラディスの秘録」タニス・リー著/

パラディスは生者の、半生者の、蘇生者の、死なざる者の都であると同時に、死者の都でもあるのです。婚礼の新床で花嫁が夫の手で殺された。夫が死ぬまで隠し通したその理由とは。(「鼬の花嫁」)周囲の人間が次々と衰弱し死に至るという、不吉な噂が囁かれる女性の正体は。(「美しき淑女」)退廃と背徳の都パラディスに眠る死者の物語8編を収録。闇の女王タニス・リーの傑作短編集。

↑本の内容紹介から。

「堕ちたる者の書」「獣幻の書」に続く、ヨーロッパの架空都市パラディスを舞台にした短編集です。
(短編の幾つかは、パラディスの外に出ていたりもします)
シリーズの一冊ですが、特に繋がりがないのでどれから読んでも大丈夫!
今作はパラディスの墓所を案内する人物の語りが導入となり、繋がれていきます。
(短編同士に、繋がりはないのでこれまた、どれから読んでも大丈夫!)
パラディスの墓所に眠る様々な時代の、様々な死者たちの物語は、
「鼬の花嫁」「悪夢の物語」「美しき淑女」「モルカラの部屋」
「大理石の網目」「世界の内にて失われ」「硝子の短剣」「月の部屋」――八編収録。

「鼬の花嫁」
新婚初夜の床(とこ)で、花嫁は花婿に殺された。愛していたと言い、殺した理由を一向に語ろうとしないロランが口を噤んだ花嫁マリー=メイの秘密とは――。
おとぎ話のような導入からは思いもよらぬというか、突き抜けたオチが衝撃的でした。
「悪夢の物語」
革命のとき、ある男のせいで両親が処刑されたジャンは叔母に復讐心を植えつけられ育てられる。そうして成長したジャンは仇を追って植民地へと向かうが、当の仇は死んでいた。
このお話に出てくる夜の宗教はブードゥーかと。
「美しき淑女」
ベラドンナというあだ名を持つジュリ・ディス。大して美しくもない彼女の周囲では、不穏な死が相次ぐ。そんな彼女の話に魅せられたジョルジュはジュリの真相を探ろうとして――(ネタバレ⇒殺すの?と唖然としつつ、またジュリの死体から発見されたものに驚愕
「モルカラの部屋」
他人の屋敷を見て回るのが好きなランダルはある日、雨宿りで寄った古屋敷にて、老姉弟から呪われた部屋の話を聞いて――。
論理的に謎解くところで、ミステリ的な面白さも。
「大理石の網目」
川から発見された水死体は行方不明になっていたジュサンド・マルグリット。彼女は叔母が主催する夜会で出会った<奇術師>に一目惚れされ「あなたはわたしの元を訪れる」と予言する。そんな<奇術師>彼女は拒否したが――。
このお話の中で、ジュサンド夢に見た詩を探す部分があるんですが、夢の中で時折本を探したりすることがあったり(笑)した私は、妙なところで共感したり。
「世界の内にて失われ」
学者オベランは探検家エシュロの著作に出会い、この世に存在しない世界を信じ、その世界を探しに旅に出る――。
「硝子の短剣」美男子で裕福なミヒャエルの恋人は芸術家のヴェルメ。身体は繋がっているが心は繋がっていない彼女に対して、ある企みを――。
「月の部屋」
ある仮面を手に入れた娘。その仮面をつけたところ、ある日、鳥へと変化して――。
一種の吸血鬼譚。

「美しき淑女」「モルカラの部屋」「硝子の短剣」「月は仮面」が特に好き。
あと、話と話の間に挟まる墓案内が語ったアライグマ氏のエピソードも(笑)
タニス・リーのお話には神話童話以外にも、文学歴史などいった幅広いところから、モチーフを選んで物語を作り上げている部分があるので、色々と自分の中にある読書経験と繋がるところが面白いです。

死せる者の書 (創元推理文庫)死せる者の書 (創元推理文庫)
(2014/08/21)
タニス・リー

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