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2014(Thu)

「トオリヌケ キンシ」加納朋子著

読感/国内小説

「トオリヌケ キンシ」加納朋子著/

人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。
(収録作品)
高校に入ってから不登校・引きこもりになってしまったある少年。ある日彼の家に、一人の少女がやってきた。少女はかつて少年に助けてもらってもらったことがあるという――。『トオリヌケ キンシ』
「ある形」を見つけてしまう能力以外はごくごく平凡な女子高生。そのふしぎな力を生物の先生は「共感覚」と分析した……。『平穏で平凡で、幸運な人生』
やさしかった母がある日豹変、家の中でいじめられるようになってしまったタクミ。つらい日々の救いは、イマジナリーフレンド(想像のお友達)の存在だった。『空蝉』
人の顔が識別できない――「相貌失認」の「僕」は、高校入学を機にそのことをカミングアウトする。あろうことかその後「僕」はある女の子から「好きです」と告白される。不思議な始まりの恋の行方は? 『フー・アー・ユー』
長く連れ添った夫人を突然に亡くし、気落ちする亀井のおじいちゃん。家の中でひとりのはずが、ある日「座敷童がいる」と言い出した!『座敷童と兎と亀と』
前日に高熱を出して受験に失敗した「俺」は、ある場所に引きこもり、自分でコントロール可能な「明晰夢」を見る日々を過ごしている。そんな中で出会った女の子「ミナノ」、彼女は夢だったのか、それとも?『この出口の無い、閉ざされた部屋で』。

↑本の内容紹介から。

引きこもりになってしまった少年。
共感覚を持った女性。
ある日母親が豹変し、いじめられるようになった少年。
相貌失認で人が見分けられない高校生――etc。
表からは見えない様々な事情を抱えた人々の物語が六編集められた短編集です。
最終話でそれまでのお話の登場人物がゲスト(カメオ?)出演しているので、短編連作といってもいいかも。
全編通して、様々な事情(疾患など)がテーマになっています。
作者である加納さんご自身が抱えられた病を題材にしたお話もあり、そのお話は「これ」の終盤書かれていることへの、今言える答えではないかと思ったり。
(なので「無菌病棟より愛をこめて」と合わせて読むといいかなって、思います)
また単なる性格の問題のように思えることも、もしかしたら本人にはどうしようもない病気(障害)だったりして。
世の中にはそういう病があるのかと、目を見開かされる。
場面緘黙症、半側空間無視などなど
目に見える事柄だけが全てではないことを教えてくれる。
ざわざわと心苦しくなるような、胸キュン、ハラハラ、またはほっこりするような色々な感情を刺激してくれる、そんな短編集でした。全力でオススメ!

トオリヌケ キンシトオリヌケ キンシ
(2014/10/14)
加納 朋子

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無菌病棟より愛をこめて (文春文庫)無菌病棟より愛をこめて (文春文庫)
(2014/09/02)
加納 朋子

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