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松原冬夜

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「悪意の糸」マーガレット・ミラー著

二か月前に読んだ本の感想です……。
もっと早く書こうと思っていたんだけど、ずるずると。
もう書かなくてもいいかなと思いつつ、今年も残り少なくなって来たので、今年面白かった本などを上げるとしたら、これも入るかなと思いまして。

「悪意の糸」マーガレット・ミラー著/

不穏な空気をはらんだ夏の午後、医師シャーロットの診療所にやって来た若い女。ヴァイオレットと名乗るその娘は、夫ではない男の子どもを妊娠したという。彼女の“頼み”を一度は断ったシャーロットだが、混乱しきった様子が気に掛かり、その晩、ヴァイオレットの住まいへと足を向け…卓越した心理描写を武器に、他に類を見ないミステリを書き続けた鬼才による傑作、本邦初訳。

↑本の内容紹介から。

名前は翻訳ミステリ界隈では聞いていたけれど、読んだことがなかったミラー作品。
(名前は聞いていたので、古本などで何冊か買って積んではいる)
その本邦、初翻訳ということで、買ってみました。
ロマンチックサスペンスを意識された作品ということで、本来の作風とは若干異なる?のかな。
お話はとてもシンプルで、読みやすかったです。でも、盲点のつき方とか、さすがと思わせる部分もあって、面白かった。
お話は女医のシャーロットの診療所に、夫ではない男性の子供を宿した若い女性がやってきます。
彼女は助けて欲しい(ようするに堕胎して欲しいと)とシャーロットに願い出ますが、シャーロットは医師として彼女の頼みを断わります。
だけどやっぱり気になって彼女の元へ訪ねて行くと――。
その後、シャーロット自身が妻がいる男性・ルイスと恋仲で、その妻の主治医としても関係があることがわかってくる。
その関係が色々とシャーロット自身を後々、困った状況に追い詰めていったりと、ハラハラ。

先に書いたようにロマサスを意識しているので、ロマンス要素もありです。
個人的にはシャーロットを口説く刑事さんがツボでした。
いや、死体の話をしていたその口で、口説いたり。
どこまで本気なのかわかんない言動がね、ニヤニヤ。
そうしてミスリードで、この刑事さんにも疑惑の目が向けられたりと

「こんなに苦労するとは思ってませんでしたけどね。わたしはそうとうな楽観主義者だから。あなたがいっしょにこの町に来て、わたしに知力や魅力を披露する機会を与えてくれ、帰りはわたしへの愛に頬を染めたあなたと、初めから胸をときめかせていたわたしとが連れだって町へ戻る――そんな想像をしていたんですよ」言葉を切って、言い添えた。「そううまくはいきませんでした」(「悪意の糸」p185より)

ルイスはわかっていない。高い教養があるにもかかわらず、人がなんらかの感情を抱いているかどうかを、泣いたり笑ったりしているかどうかで判断する。(「悪意の糸」P14より)

このね、一文が読み終わった後に「ああっ!」と、個人的に膝を打ったと言いますか。
多分、本来のミステリ作品に比べたら、軽いのかもしれないけれど。面白かったです。
他の作品も読んでみたいと思いました。
とても読みやすいので、翻訳ものは苦手という人にもオススメです。

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(2014/08/29)
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