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2015(Sun)
「ストーナー」ジョン・ウィリアムズ著
「ストーナー」ジョン・ウィリアムズ著/
ストーナーは、数々の苦難に見舞われつつも、運命をつねに静かに受け入れ、かぎられた条件のもとで可能なかぎりのことをして、黙々と働き、生きてゆく−。生きづらさを抱えた不器用な男の日常を温かなまなざしで描く長編小説。
↑内容紹介から。
約50年前に書かれた小説が復刊され、世界中で反響を呼んだ小説です。
主人公ウィリアム・ストーナーは貧しい農場の息子。彼は父親から大学の農学部に進むことを提案されます。
そうして学んでいた学業の途中で、彼は文学に出会います。
惹かれるままに農学部から、文学部へと移り、そして大学の教師になったストーナー。
彼のその一生を静かに淡々と綴っています。
本を読みふけっていて、自分の知らないことの多さ、読んでない本の多さをよく意識させられた。そして、自分の生活の中に、多読のための時間、知るべきことを学ぶための時間があまりに少ないことを思い知らされ、そのとたんに、せっかく築きあげた静穏の境地がもろくも崩れ去った。(P29)
文章とその美しさの潜在力を見出し、自分のつかんだ感覚で学生たちの知識欲を鼓舞する日を心待ちにした。(P30)
ストーナーは口数が少なく武骨、人の中でうまく立ち回れない不器用な人。
だけど、文学に対する情熱があり、自分が選んだ道は貫く人。
そんな自らが選んだ道でも、人生は思う通りにはいかない。
第一次世界大戦に、第二次世界大戦と二つの戦争を経験します。
「きみは、自分が何者であるか、何のために道を選んだかを、そして自分のしていることの重要性を、思い出さなくてはならん。人類の営みの中には、武力でよるものではない戦争もあり、敗北も勝利もあって、それは歴史書には記録されていない。どうするかを決める際に、そのことも念頭に置いてくれ」(P42)
彼自身は戦場に出ませんでしたが、肩身の狭い思いをし、また親友を亡くします。
初恋の人と結婚したはよいけれど、お互いを理解できずにその結婚は失敗。
妻はストーナーに対し憎悪に似た感情を見せるようになれば、家庭での生活も苦渋のものとなる。
だけど、ストーナーは妻の行いを受け入れ、静々と日々を過ごす。教師として教え子たちから信頼を得るようになってきたならば、またそこで色々と問題が立ち上がり――と。
本当にただ不器用というか、人づきあいが下手というか、媚を売らないというか。
そういう下手さって、誰しもが持っていて、どこかで生きづらさを感じるときがあるかと思います。
そういう人はまあ、ストーナーに共感を覚えるわけで。
彼の人生が困難にぶつかれば、どうか、何事も起こりませんようにと祈るように読んでいました。
この小説の反響が大きいのは、多分きっと誰もが生きづらさを経験しているからなのだろうな。
だけどこの不器用な男の人生が美しい物語であることも事実。
(あと、訳文が日本語の豊かさを感じさせるのも素晴らしかった。)
読んで良かった!オススメです!
ストーナーは、数々の苦難に見舞われつつも、運命をつねに静かに受け入れ、かぎられた条件のもとで可能なかぎりのことをして、黙々と働き、生きてゆく−。生きづらさを抱えた不器用な男の日常を温かなまなざしで描く長編小説。
↑内容紹介から。
約50年前に書かれた小説が復刊され、世界中で反響を呼んだ小説です。
主人公ウィリアム・ストーナーは貧しい農場の息子。彼は父親から大学の農学部に進むことを提案されます。
そうして学んでいた学業の途中で、彼は文学に出会います。
惹かれるままに農学部から、文学部へと移り、そして大学の教師になったストーナー。
彼のその一生を静かに淡々と綴っています。
本を読みふけっていて、自分の知らないことの多さ、読んでない本の多さをよく意識させられた。そして、自分の生活の中に、多読のための時間、知るべきことを学ぶための時間があまりに少ないことを思い知らされ、そのとたんに、せっかく築きあげた静穏の境地がもろくも崩れ去った。(P29)
文章とその美しさの潜在力を見出し、自分のつかんだ感覚で学生たちの知識欲を鼓舞する日を心待ちにした。(P30)
ストーナーは口数が少なく武骨、人の中でうまく立ち回れない不器用な人。
だけど、文学に対する情熱があり、自分が選んだ道は貫く人。
そんな自らが選んだ道でも、人生は思う通りにはいかない。
第一次世界大戦に、第二次世界大戦と二つの戦争を経験します。
「きみは、自分が何者であるか、何のために道を選んだかを、そして自分のしていることの重要性を、思い出さなくてはならん。人類の営みの中には、武力でよるものではない戦争もあり、敗北も勝利もあって、それは歴史書には記録されていない。どうするかを決める際に、そのことも念頭に置いてくれ」(P42)
彼自身は戦場に出ませんでしたが、肩身の狭い思いをし、また親友を亡くします。
初恋の人と結婚したはよいけれど、お互いを理解できずにその結婚は失敗。
妻はストーナーに対し憎悪に似た感情を見せるようになれば、家庭での生活も苦渋のものとなる。
だけど、ストーナーは妻の行いを受け入れ、静々と日々を過ごす。教師として教え子たちから信頼を得るようになってきたならば、またそこで色々と問題が立ち上がり――と。
本当にただ不器用というか、人づきあいが下手というか、媚を売らないというか。
そういう下手さって、誰しもが持っていて、どこかで生きづらさを感じるときがあるかと思います。
そういう人はまあ、ストーナーに共感を覚えるわけで。
彼の人生が困難にぶつかれば、どうか、何事も起こりませんようにと祈るように読んでいました。
この小説の反響が大きいのは、多分きっと誰もが生きづらさを経験しているからなのだろうな。
だけどこの不器用な男の人生が美しい物語であることも事実。
(あと、訳文が日本語の豊かさを感じさせるのも素晴らしかった。)
読んで良かった!オススメです!
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