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2016(Mon)

「黄昏の彼女たち 上・下」サラ・ウォーターズ著

読感/翻訳小説

「黄昏の彼女たち 上」サラ・ウォーターズ著/

第一次世界大戦で父と兄弟を喪い、母とふたりで生きていくため屋敷の部屋を貸すことにしたフランシス。下宿人になったのは、快活なレナードとおとなしいリリアンのバーバー夫妻だった。ひとつ屋根の下で暮らすうち、フランシスとリリアンには互いを想う感情が芽生えていく。そんな彼女たちの関係は、ある人物に死をもたらし、何人もの運命を思わぬ形で変えるのだった。時代に翻弄される女性たちを流麗に描く、傑作文芸ミステリ最新

↑本の内容紹介から。

「黄昏の彼女たち 下」サラ・ウォーターズ著/

リリアンの衝撃的な告白が、秘密の恋人たちの仲に変化をもたらすなか、ある夜ついに悲劇は起きる。人の死というかたちを取って。予想外の事態に翻弄されるフランシスとリリアン。だが、それはさらなる怒濤の展開の始まりにすぎなかった……。大家と下宿人から道ならぬ恋人同士に至ったふたりの関係と「事件」は、いかなる結末を迎えるのか。一九二〇年代のロンドンを舞台に圧倒的な描写力で読ませる、ウォーターズのミステリ大作。

↑本の内容紹介から。

ヴィクトリア朝や第二次大戦中、戦後など、さまざまな時代を舞台に、ミステリを描くサラ・ウォーターズの新刊です!
今回は第一次大戦後、1922年頃が舞台。
戦争で男兄弟を失い、さらに父を亡くし困窮に陥ったフランシスは、生活の糧を得るために屋敷に下宿人を住まわせることにします。
そこでやって来た夫婦の妻リリアンに心惹かれ――と。
上巻はフランシスとリリアンの恋物語です。
この恋物語が何というか、リリアンに出会う前のフランシスは、戦争や失恋でかなり疲弊していたというか、枯れていた印象だったんですが。
リリアンと親しくなり、友情に似た親近感からやがて恋に変わっていく過程が、生気を取り戻すかのように、実に色鮮やかで何とも眩しかった。
ああ、もうこんなに好きになってしまったら、相手が同性だろうが既婚者だろうが、想いは止められないよね、と。
しみじみ。個人的には夫婦仲が上手くいっていないんだから、フランシスたちに幸いをと思うわけですが。
だけど(時代的に同性愛は法に触れるわけで)禁断の恋物語の行方は、もう破滅しか見えないところへ、
ある事件が起りそれぞれの心が散り散りに揺らいで、先が見えないサスペンス展開の下巻。
正直、上巻の展開は予想通りで、事件が起こるのもやむなしな予感はあったのですが。
事件後の展開がちょっと意表を突いていたと言いますか。
この展開は予想付かなかったため、決着がどんな形になるのか、気になった。気になった。
あと、二人の恋が壊れそうになっていくのがなかなか苦しかったです。
片方が既婚者なので、不倫(中絶・殺人)などと読んでいく段階で読み手の倫理観も反映すると思われる本作品。
(私は不倫は当事者たちが解決すべき問題で、第三者が口出しすることじゃないと思っていて、この本の場合、読者の私は第三者なので気になりませんでした)
個人的に色々揺らぎながら、状況に流されながらも、(ネタバレ注意二人が「罪」をなすりつけて逃げようとしないところが良かったです。もしそんな展開だったら、私は二人に愛想尽かしていたと思う。

黄昏の彼女たち〈上〉 (創元推理文庫)

黄昏の彼女たち〈下〉 (創元推理文庫)


荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

エアーズ家の没落上 (創元推理文庫)

エアーズ家の没落下 (創元推理文庫)




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