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2016(Wed)

「クロコダイル路地1・2」皆川博子著/

読感/国内小説

「クロコダイル路地 1」皆川博子著/

1789年7月14日、民衆がバスティーユ監獄を襲撃。パリで起きた争乱は、瞬く間にフランス全土へ広がった。帯剣貴族の嫡男フランソワとその従者ピエール、大ブルジョアのテンプル家嫡男ローラン、港湾労働と日雇いで食いつなぐ平民のジャン=マリと妹コレット。“革命”によって変転していくそれぞれの運命とは。小説の女王が描く壮大な叙事詩的物語と、仕組まれた巧妙な仕掛け。革命期の貿易都市ナントから始まるフランス篇。

↑本の内容紹介から。

「クロコダイル路地 2」皆川博子著/

革命は終わった。登場人物たちは、フランスを脱出してイギリス・ロンドンへ。ローラン、ピエール、コレットは革命期に負った「傷」への代傷としての「復讐」を試みる。「革命という名の下になされた不条理に、私は何もなし得ない。ゆえに、個が個になした犯罪の是非を糺す資格も、私は持たない。私は、法がいうところの犯罪者になるつもりだ」私は、殺人を犯す。それは罪なのか?あの“バートンズ”も登場!小説の女王の最新ミステリ長編。産業革命期のロンドンを駆け巡るイギリス篇。

↑本の内容紹介から。

皆川さんの新作はフランス、イギリスを舞台にした歴史長編です。
貴族ではないけれど富豪のテンプル家嫡男ローラン(ロレンス)、平民のジャン=マリと妹のコレット、帯剣貴族フランソワの従者のピエールらは、フランスに巻き起こった反乱の嵐に巻き込まれます。
ジャン=マリは革命の混乱期に妹のコレットと生き別れ、ピエールは革命軍に対抗するフランソワに付き従い、戦い続けます。
最初は貴族だけがターゲットだったものが、果ては富を持つ者へと波及していく市民たちの憎悪によって、ローランは両親祖父をギロチンにかけられます。
元は屋敷に仕える家庭教師たちの手によって。
そうして下克上とも言えるような環境下で屈辱をなめる日々、運命の巡り合わせで、ローランはジャン=マリやピエールなどとと共に、イギリスへと脱出します。
だけれど、彼の知らないところでは……。
イギリス篇では命の心配はなくなったものの、それぞれが抱えた傷跡は深く。
月日は巡れど、奥底に隠された憎悪がやがて――と。
革命がもたらした闇は重く、虚無は満たされることなく、狂気は理性を蝕んでと。
なかなか救いが見えないそんな中、新たに登場したオコナー兄妹とベニーのエピソードが貧しき中にも心和ませて、癒やしでした。
特にメイが可愛い。
もしかしたらメイは、凄惨な時を知らずに生きることができた、彼女のもう一つの姿だったのかもと、ぼんやり思ったり。
イギリス篇では、懐かしのバートンズ(「開かせていただき光栄です」に出てくる)も顔をみせたりして、ミステリ小説としての読みどころもあり。
大変読み応えのある、二冊でした!

クロコダイル路地1

クロコダイル路地2

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-4)

アルモニカ・ディアボリカ (ハヤカワ文庫JA)



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