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松原冬夜

Author:松原冬夜
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「戦地の図書館」モリー・グプティル・マニング著

「戦地の図書館」モリー・グプティル・マニング著/

第二次世界大戦中、アメリカの図書館員たちは全国から寄付された書籍を兵士に送る図書運動を展開し、軍と出版界は新しい形態のペーパーバック「兵隊文庫」を発行して、あらゆるジャンルの本を世界の戦地に送り届けた。その数、およそ一億四千万冊。本のかたちを、そして社会を根底から変えた、史上最大の図書作戦の全貌とは? ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーの、絶賛を博したノンフィクション! 「兵隊文庫」の全作品リスト付。

↑本の内容紹介から。

第二次世界大戦中、ナチスが一億冊以上の本を焚書したのに対して、アメリカは兵士の心を支えるべく一億冊以上の本を生み出した、兵隊文庫にまつわるノンフィクションです。
本を開いて「はじめに」、一人の兵士がある作家に向けて書いた手紙の言葉から始まります。
戦場で傷つき戦いに倦み疲れ心をなくした兵士が、兵隊文庫で読んだ物語に心を生き返らせてくれた――と。

これは、剣と同じように強い力を持った本の記録である。(P18)

本が好きな人間としては↑の言葉に、心掴まれるたわけですが、第一章ではドイツの焚書について書かれてあります。
学生たちが本を火の中に投げ入れていく本が燃やされるそのシーンは、心痛いと同時に、本を燃やすことに何とも思わない心にぞっとします。
上から命じられるままに、動くこと。そこに何の迷いもないことに、独裁政権の恐ろしさに、ぞわぞわと、ね。
そんなドイツの行いに対して、様々な人々が声を上げます。
↓ヘレン・ケラーの言葉

「もしも、思想を抹殺できると思っているのなら、あなたたちは歴史から何も学んでいません。これまで、暴君たちが幾度となく思想を弾圧しましたが思想は力を盛り返し、暴君らを破滅に追い込みました」
「あなたたちは、私の本やヨーロッパの偉人たちの本を燃やしますが、その中に記されている思想は、これからもあまたの経路を通じて人々に浸透し、力を与え続けるのです」 (P24)


そんなドイツとの戦いに備え、兵士たちが集まる基地に、本を届けようと図書館員たちが立ち上がります。
人々から本の寄付を集うことから始まった運動。多くの図書館や人々からハードカバーの本が集まります。
そうして戦争に本格的に参戦することになったとき、ハードカバーの本は持って行けない。
そこでペーパーバックに注目が集まり、兵士たちが持ちやすいように工夫され、兵士たちのためだけに刷られたのが兵隊文庫です。
その誕生、意義、思想などについて書かれると同時に、時には大統領選における表現規制の駆け引きなども興味深く、読み応えがありました。
丁度、読んでいるときが選挙期間中だったこともあり、色々考えさせられました。
特に、言論を封じようとするせっこんの情勢には、ええ、色々と思うところがありますよね……。
(何か、勝手に苦さを感じてしまったけれど)

本(や物語)の力を信じる人、表現や規制と言ったことに興味ある人に、オススメです。
思想や政治といったものに感じることがあるので、この時世に思うところがある人も、是非。


 フランスへの上陸作戦の最初の十一日間で、三千人のアメリカの若者が死んだと聞かされた。
 死んだのは誰? その問いに、私は答えよう。
 それほど遠くない昔、小さな男の子がいた。男の子はベッドで眠っていた。夜が更け、雷鳴が轟いた。男の子は目を覚まし、怖がって大声で泣き始めた。母親がやって来て、男の子の毛布を丁寧に掛け直した。「泣かないで、何もあなたを傷つけたりしないから」
 その男の子が死んだ……
 ひとりの少年がいた。少年は、新しい自転車に乗り、あなたの家の前まで来ると、両手をハンドルから離し、夕刊を折りたたみ、あなたの家のとに向かって投げた。新聞が戸にあたる音を聞き、あなたはいつものように跳び上がった。「いつか、あの小僧をうんと叱ってやる」その少年が死んだ。
 二人の少年がいた。片方の少年が、もう片方の少年に言った。「僕が話をする。でも、おまえも一緒に来てくれ。心強いからな」ふたりはあなたの家にやって来た。話をすると約束した少年が言った。「おじさん、芝を刈りましょうか?」
 ふたりはともに死んだ。お互いに励まし合いながら……
 彼らは皆、死んでしまった。
 今夜、私たちは、己が銃後の務めを果たしていると心から確信しない限り、穏やかに眠りに就くことなどできないだろう。

――ベティー・スミス、“WHO DIED?”(1944年7月9日) (P129)




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