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2007(Tue)

「崖の館」佐々木丸美著

読感/国内小説

少し前に読んだ本の読感です。

「崖の館」佐々木丸美著

財産家のおばが住まう崖の館を訪れた高校生の涼子といとこたち。ここで二年前、おばの愛娘・千波は命を落とした。着いた当日から、絵の消失、密室間の人間移動など、館では奇怪な事件が続発する。家族同然の人たちの中に犯人が?千波の死も同じ人間がもたらしたのか?雪に閉ざされた館で各々推理をめぐらせるが、ついに悪意の手は新たな犠牲者に伸びる。

↑本の内容紹介から。

東京創元社のサイトで紹介されていた本で、興味を覚えて購入。
三十年ぐらい前にデビューして活躍されていた作家さんの復刻本と言うことで(もうお亡くなりになっている)作品は古いわけですが、舞台が閉鎖されている館の中ですので、古臭さは全く感じませんでした。
館を舞台にした本格ミステリーですが、猟奇的な事件ではないので、流血は苦手という方でも大丈夫だと。
お話は涼子さんの一人称で語られますが、この文章が何と言いますか。
涼子さんの感性によるものなのか、心理・情景描写も(解説では少女趣味的と言われていますが)濃いです。
……何か、勉強になりました。
寒々しい冬の表現も、あんな風に描写できるものなんだな、と。
少女趣味的と言われるその文章を受け付けるか、否かは、人それぞれだと思いますが。
私は他の作品も読んでみたいと思いました。

ミステリーとしては、私がミステリーを読み慣れてしまったせいか、犯人を断定する部分が直ぐにわかってしまったので、「あっ」と驚くようなものではなかったのですが。
(この辺はやはり、古い作品なのでしょうがないかなと)

登場人物では、由莉さんが魅力的だったかな。最初はわがままな女の子だと思っていたけど、誤解が解けると、感情に率直で裏表のない人だと。
表面しか見えていなかった部分が、あることをキッカケにその奥へと踏み込んで理解していく文章部分も好きですね。
ええ、それだけに由莉さんが……。

何にしても、今回の復刻でこの作家さんの存在を知れたのは、良かったです。

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