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2007(Mon)

「空を見上げる古い歌を口ずさむ」小路幸也著

読感/国内小説

読んだ本の感想です。

「空を見上げる古い歌を口ずさむ」小路幸也著

20年前、兄が言ったんだ
「誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んでほしい――」
みんなの顔が〈のっぺらぼう〉に見える――。息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く〈サクラバ〉や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。懐かしさがこみ上げるメフィスト賞受賞作!

↑本の内容紹介から。

「HEARTBEAT」「東京バンドワゴン」の、作家さんのデビュー作が文庫化されると知りまして、これは読まなきゃな、と。
お話は、お兄さんが自らの子供の頃を語るという形で進みます。
昔語りの中で、現在の人と会話をしているような箇所があります。その辺の描写は全然されていないんですけどね。でも、どういう質問をされたのか、文には描かれていないのに分かる。そのときの表情の感じも見えるような気がする(……私の想像力?)
お兄さんの語りの声が、実際に聞こえてきそうな雰囲気が文章にありました(……私の幻聴? まあ、かなりのめり込んで読んでいたということで)
「のっぺらぼう」という単語から察せられるかと思いますが、少し不思議なお話で。
ファンタジー好きな人にはおススメかも(あ、ライトノベル系のファンタジーではなく……うーん?(説明に相応しい言葉が浮かんできません)
昭和の時代の小学生だったお兄さんが、人の顔がある日突然、のっぺらぼうに見えるようになって。そこで、馴染みだったお巡りさんの短銃自殺を目撃します。自殺現場に、誰かがいたんだけど、お兄さんにはその謎の人物の顔が見えない。それから身の回りで人が死んでいって――と、ミステリーな感じもあり。
解す者、違い者、稀人――などといった能力者たちの存在が、ファンタジーのようでもあり。
(その辺の謎は、言及されませんが。続編があるのかな?)
また、ある日突然、違う人種に変わってしまうことへの怖さが、ホラーのようでもありと。
ジャンルを限定するのは難しいですが、面白かったです。
一気に読んでしまいました!
ラストも温かくて、良いです。私は好きです。

作者紹介に「読む者に懐かしさと優しさを与えてくれる~」と、書かれてありましたが、この一冊だけでもその紹介文の的確さに納得しました。
お気に入りの作家さんとして、今度から名前を上げたいです。
(他の作品も読みたい!)

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