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2007(Sat)

「高く遠く空へ歌ううた」小路幸也著

読感/国内小説


読んだ本の感想です。

「高く遠く空へ歌ううた」小路幸也著

ぼく、また死体を見つけてしまったんです。これで10人目なんです。
高くて広い空に囲まれた街で起きる不思議な事件。少年・ギーガンは知らず知らずのうちに事件に巻き込まれていく。第29回メフィスト賞受賞作家が放つ会心作!

「どうして俺たちみたいな人間が存在するのか、俺たちにもわからないんだ。俺たちさえいなけりゃこんなことも起こらないのに」「そこにもう一人のぼくがいるような気がするんです。見えない闇の世界にいるもう一人のぼく」
大人の世界には君たちの知らないことがたくさんある。

↑本の帯から。

「空を見上げる古い歌を口ずさむ」の続編と……言っていいのかな?
時間軸は「空を~」でお兄さんが語っていた少年時代です。その時代だけに限定して語られています。
主人公はギーガンというあだ名を持つ小学生。あだ名の由来は、目が潰されて片目が義眼だから。そんなギーガンは何故か、昔から死体を見つける――そうして、十人目の死体を見つけたところから、お話は始まります。
小学生のギーガン君の一人称です。
ギーガン君は感情というものは理解できるけれど、感情を表現できない男の子。そんな男の子を取り囲む子供たちが温かくて良いですね。
ルーピー君が特に。後、ケイトちゃんも。
この二人は「HEARTBEAT」のエミィちゃんとハンマ君を思い出させます。
あの二人、好きだったから何か嬉しい(作品の発売順で言えば「高く~」の方が先なんですけどね)
お話は死体発見というところから始まって、事件らしい感じはあるけれど。それで話を引っ張っていくというものではないような。
「空~」は次々と不審な事が起こって、それで話が展開して言ったけれど。この話では、何となく核というものが見えないような……それが不思議な雰囲気を出しているようにも思えます。
お話の最後の方で、前作と世界観が繋がります。違い者、解す者についてはやはり言及されませんけど。
全体を通して、人間が優しくなるのに大切なことを教えられたような気がしました。

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