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2007(Tue)

「そこへ届くのは僕たちの声」小路幸也著

読感/国内小説


「そこへ届くのは僕たちの声」小路幸也著

植物人間を覚醒させる能力を持つ人がいるという噂と、各地で起きる奇妙な誘拐事件。無関係なはずの二つの出来事を結んだのは、“ハヤブサ”というキーワードだった。“ハヤブサ”とはいったい何なのか?―うちに秘めた「見えざる力」を駆使して、次々と降りかかる試練を乗り越える子供たち。本当の友情と勇気を描いた物語。

↑本の内容紹介から。

お話はプロローグで、とあるテロ事件に関係した皆が「ハヤブサ」に関わるまでの回想。その後、二部に分かれる形で進みます。
前半はハヤブサを見つけるまで、後半はハヤブサについて(←あまり、当てにしないように)といったところでしょうか。
語り手が色々と入れ替わりので、状況を把握しづらい部分があるような感はありますが、ファンタジー好きな人は楽しめるかと思います。
何か、色々と書きたいことがあるのですが、あまり書きすぎるとネタバレしそうなので……ちょこちょこっと、ね。

子供なのに「僕たち以外、誰にもできないから」と。自分が出来ることを知っていて、でもそれがとても危険なことであることも承知しつつ、覚悟を決めている。
その決意の強さが、凄く眩しくて。
そんな子供たちの事情を知り、危険に向っていく子供たちを見送る親もまた、本当は辛くてしょうがないのに。
それでも子供の意思を尊重し「行って来なさい」と送り出す心情とか、想像すると何だか、やっぱり強いなとか思うし。
それでも、自分の孫だけはと思ってしまう愛情の深さも理解できるし。
最後のほうでリン君のお父さんが叫んでて、それを語るリン君の言葉もまた、きっとこの子もお父さんと同じような思いを抱いたんだろうなと思えば、ハヤブサが選んだ選択がその場合において一番良いことだったとしても、辛くて。悔しくて――と。
色々な思いがそこにあって、同調するように、かなりのめり込んで読んでました。

私は小説を読んで泣いたりしない人間なんですが(映像でも泣かないけど)ちょっと、ウルウルきたり。
↓いや、だって、真山さん家族を見守る辻谷さんの視線がとっても温かくって!
(つられて、ウルッときてしまいました)

 時々思い出したように彼女の細い指が倫志の頭を撫でたりするのを見たときなんかは、涙腺の弱いオレはどばぁと涙が出そうになって困るんだ。
 早く、一日でも早く回復してくれればと心から願う。神様なんか信じちゃいねぇが、こればっかりは祈る。

「そこへ届くのは僕たちの声」小路幸也著 抜粋

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